朝からずっと、雨が降り続いている。
サンダルの足元をびしょぬれにしながら、
それでも二人ちょっとはしゃいで、あちこち歩き回る一日。
昨日私がうっかり落としてしまった彼の携帯は、
無事救出したものの、何かと調子が悪く、ドッグ入り。
修理には一ヶ月程掛かるらしい。
『その頃また、東北巡りを終わらせて東京に帰ってくるから丁度いいよ』
と、カラカラ笑ってくれることに感謝。
ありがとう、ホントにゴメンね・・・ (ノ_・、)
途中、お茶に寄ったカフェで、
向かい合わせに座る旅の男の頭に、円形脱毛を見つけてしまった。
東京に帰ってくる少し前には突然湿疹が出て、
『帯状疱疹』と診断されたこともあった。
どちらも強度のストレスが原因。
バイクでぶらり全国一周一人旅。
傍目にはつい、お気楽な毎日に見えるけれど、
身体にも心にも、かなり負荷が掛かっていたことに、改めて気づく。
後日、彼から、その頃のあれこれを綴った長いメールが届いて、
その中に、こんな一節があった。
>逃げられない現実からは目を背けたくなるもの。
>それでも逃げる訳には行かない(笑
--中略--
>謙虚さに欠けた自分の傲慢さから来る感情を、
>その土地のせいにするなんて失礼な話だよね。
>「自分の壁」でずっとそこにある土地とその場所の暮らしを
>「好き・嫌い」なんて勝手な判断で括っていた事を、猛烈に反省...。
旅の生活の中で日々、心に生じては過ぎ去ったはずの些細な感情の数々は、
実はゆっくりと澱のように溜まっていて、時々大きく舞い上がる。
そんな波を、大きく小さく何度も繰り返して、
彼は彼なりに沢山のことを思い、
私は遠く離れて、その波紋を少しだけ、すくい取る。
家に帰ったら随分遅くなっていたけれど、
雨の中車を走らせて、横浜中華街へ向かった。
激しい雨に、巨大な観覧車と港湾の灯りが、ぼうっとふやけて浮かぶ。
以前、長く香港で働いていた旅の男は中華料理が大好きで、
知らない土地で美味しい店を探し当てる勘も、恐ろしい程鋭い(笑。
今回は、お気に入りの広東料理のお店に2軒、連れてかれマシタ。
ココナツの香りのするたれで食べる水餃子だの、
ナンプラー的な調味料で仕上げた炊き込みご飯だの、
ハチノス(牛の第二胃)と野菜の豆豉炒めだの。
・・・ちょっとディープな香港家庭料理メニュー、ウマっ(ノ≧▽≦)ノヤホウ♪
店員さんと広東語で楽しげに話してるのが、ちょっと羨ましい。
言葉が分からないと、何も始まらない。
話せれば、何か始まる可能性が、芽生える。
雨は降る降る中華街。
後ろに座る中国人カップルの借景もあいまって、
一体自分がどこにいるのか分からなくなる。
深夜。
帰り着いたマンションの階段からの夜景は、
雨に煙って明るく、浮かび上がって見えた。
明日の夜はもう、ここにはいない。
一緒にいる時間は、短いんだか長いんだか
いつもよく分からない、不思議な感覚。
雨。
本日の距離:テーブル挟んで、1m